人口の少子高齢化が加速するわが国では、健康問題に直面する家族は以前にも増してケア機能が弱まり、家族を対象とする専門的援助の必要性が増大して来ています。また、科学技術の進歩と相まって治療の場を可能な限り在宅へと転換し、病気や障害を持ちながら自己管理して生活するという新しい局面を迎え、平成4年の訪問看護ステーション設置以降在宅患者の医療を家族を含めて組み立てやすくする支援のニーズが増大してきました。北米では家族システム看護あるいは家族看護専門看護師活動が1980年代より展開され急速に発展してきています。
わが国では患者とともに悩む家族を理解し、困難な状況を改善する適切な支援を行うことが患者への看護活動に有効であるという実践経験が重ねねられてきていましたが、平成4年に東京大学および千葉大学(寄付講座、平成9年3月終了)に家族看護学講座が設置され、平成5年から平成7年にかけて家族看護学に関する成書が刊行され、雑誌に特集が掲載されるなど新しい変化がみられました。
この様な状況の中で、日本家族看護学会は国際家族年であった平成6年10月1日にわが国での家族看護学の確立を目的に発足しました。本学会はすでに確立されている看護各専門領域および他の広範な学問領域と連携しながら、家族ケア・家族システム看護・家族ストレス対処などに関する方法論を開発し病人とその家族への家族支援の向上に寄与するよう研究・実践活動を積み重ね、学問基盤の確立を目指しています。平成9年9月の第4回学術集会の時点で、会員数550名の学会に成長しました。
平成9年度において会員数が基準数に達した時点で、日本学術会議の学術団体登録申請を行うことと、わが国での家族看護実践・研究活動支援に向けたセミナー等を全国的に開催することを予定しました。平成15年4月の会員数は1121名で日本学術会議登録学術研究団体として活動しています。
令和4年4月1日より、本学会は法人化し、一般社団法人日本家族看護学会となりました。
*ただし、形状変更がなければ、場合によって黒(ブラック100%)にするのは可能。